院長のブログ

最近の麻疹や風疹の流行について2019.03.23

麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)はウイルスによっておこる病気です。特徴として麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘(帯状疱疹)ウイルス、ムンプス(おたふくかぜ)ウイルスに罹った場合には一生病気を予防する免疫ができるために二度度とかかることはありません。ところがワクチン(麻疹ワクチン、風疹ワクチン、麻疹風疹混合(MR)ワクチン、水痘ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン)の接種によってできた免疫は最近徐々に抗体価が下がってくることわかり、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘(帯状疱疹)ウイルス、ムンプス(おたふくかぜ)ウイルスに暴露(病気になっている人と接触すること)すると、ワクチンを折角接種しても発病してしまうことがわかってきました。特に麻疹はワクチン接種(麻疹単独ワクチンや麻疹風疹混合(MR)ワクチン)を2回受けても麻疹にかかってしまうことがおこっています。しかし今麻疹にかかっている人はワクチン接種を受けていないか、1回しか受けていない人がほとんどです。また、風疹は56歳以上の方はワクチン接種を全く受けられておりません、したがって90%の方は風疹に罹って免疫がありますが、残りの数%の方は風疹の免疫がないことがわかっております。さらに難しいのは39歳から56歳までの方です。女性は中学校の時に風疹ワクチンの接種を1回受ける機会がありました(ただし、風疹に罹ったことがある方は受ける必要がないとなっていました)。ところが男性は風疹ワクチンの接種を受ける機会が全くなかったため80%しか免疫のある方がいない(20%の方は風疹に罹っているか、ワクチン接種を自費で受けられている)ことがわかっており、今風疹に罹っている方のほとんどがこの年齢層の男性になっております。30歳から39歳の方は麻疹も風疹も各々1回ずつワクチン接種の機会がありました。30歳未満の方は麻疹も風疹も各2回ワクチン接種の機会がありました。現在国が行っている麻疹や風疹の対策は、各年齢の方がその年齢に応じたワクチン接種を受けていることを前提に対策を行っています。
いろいろ難しいことをお話してきましたが、今積極的に行っていただきたいのは、お子様に定期接種として勧められている(勧奨接種)ワクチンは、その定められて年齢までにワクチン接種を確実に終わらせておくことです。麻疹と風疹は1歳から2歳までに1回と6歳になる年度(4月1日から翌年の3月31日まで)に麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)か既に麻疹や風疹に罹ってしまった方は麻疹にかかってしまった方は風疹単独ワクチンを、風疹に罹ってしまった方は麻疹単独ワクチンを1回の各々計2回受けられることをお勧めします。水痘ワクチンは1歳から3歳までに6か月以上の間隔を分けて2回接種できます。おたふくかぜは現在では任意(自費)接種ですが、松阪市は新しい元号(ややっこしい説明で申し訳ありません)の元年6月から1歳から6歳になった年の3月31日まで2500円の助成(現在は1回接種分の費用の助成です)を始めていただけることになりました。接種の推奨年齢は麻疹や風疹と同じ、1歳から2歳までに1回と6歳になる年度(4月1日から翌年の3月31日まで)に各1回ずつ2回接種されることをお勧めします。
尚、成人の方で麻疹や風疹の免疫があるかどうかは血液検査である程度推定することができ、ワクチン接種の必要性の判定ができます。かかりつけの先生とご相談されることお勧めします。ただし、自費検査となりますので、費用負担が発生することになりますことはご了承していただきたいと思います。安田小児科内科でも承っております。