院長のブログ

新型コロナウイルス感染症が感染法上の5類に移行した後の感染症に関する医療についての考察2023.03.06

 本年5月8日から新型コロナウイルス感染症が感染症法の第5類に移行します。小児科領域ではインフルエンザと同等あるいはそれ以下の感染症であるとほとんどの小児科医が考えていると思います。私もその1人です。しかし、高齢者の皆様にとっては一概にそうとは言えないかもしれません。その理由の1つはインフルエンザ感染症には経口や吸入の特効薬があります(また点滴で使用できる特効薬もあります)。インフルエンザの特効薬はいろいろな疾患で投与されている薬との相互作用がほとんどなく感染された方どなたにでも飲んでいただけるからです。新型コロナウイルス感染症にも特効薬(?)があります。ただし、相互作用の面で感染された方すべての皆さんに投与できるものがまだありません。2つめはワクチンの問題です。インフルエンザには有効性が確立し、副反応が少ないワクチンがあります。一部に接種できない方もあるにはあるのですが、そのような方は非常に少なく、それ以外の方は希望されれば接種を受けていただくことができ、インフルエンザに対する免疫を保つことができます。新型コロナウイルス感染症に関してはどうでしょうか。現在接種されている新型コロナウイルスに対するワクチンはファイザー社製とモデルナ社製のワクチンが接種されていることが多いようです(ほかにアストラゼネカ社製のものもあります)。ワクチンの有効性に関しては、有効であるという報告が多くみられていますが、インフルエンザワクチンと比較したデータはほとんど目にしません。現在第5回までの接種を受けられた方のうち、高齢者、基礎疾患のある方、医療従事者を対象に今年の5月ころから第6回目のワクチン接種が始まります(5回目接種が済まれていない方でも接種は可能ですが、今年の春に始まるワクチン接種は高齢者、基礎疾患のある方、医療従事者が対象です)。今年の秋以降には全年齢の方が対象のワクチン接種があります。ここまでは無料で接種が受けられます。つまり第7回目までの接種は無料です。新型コロナウイルス感染症は通年で流行してくると思われますから、本当にワクチン接種で予防できるのであれば全員の方が接種できてもよいように思われます。本当にワクチン接種で十分な免疫効果があるのでしょうか。ウイルス学の常識として全人口の60~80%の方が免疫を持つと感染は収束するといわれていますが、まだ完全に新型コロナウイルスの流行が終息した国はどこにもなさそうです。日本もまだ感染率は40%程度である考えられていますから、まだまだ収束までには時間がかかりそうではないかと思います。
そして医療機関の在り方が問題になります。今までと同様に新型コロナウイルス感染症の診療を行うことは可能ですが、医療機関にも今まで以上に火の粉が降りかかりそうです。今までは発熱外来を開設すると申請すればいろいろな感染予防の用意(防護衣・フェイスシールド・サージカルマスク・手袋など)を診療の程度に応じて支給していただいておりましたが、今後は自前で用意することになります。また感染された方の健康観察も保健所の皆様の献身的な努力によって24時間体制で行っていただいておりました。しかし5類へ移行するとなると、インフルエンザと同等の扱いとなりそれらはすべてなくなります。そして、感染者の情報は感染症定点における診断者数から推定する形になり、社会的にも少なからず影響があると思われます。当院で感染した方の健康管理を24時間体制で行うことは不可能ですから、診療の規模を縮小しなくてはならなくなるかもしれません。わたくしからのお願いですが、慢性疾患で通院されている皆様は通院されている医療機関で診断を受けていただけると、ありがたいです。
最後に、現在使用されている新型コロナウイルス感染症に対する薬物療法について一般診療所での使用のガイドラインを提示していただけると幸いですし、新型コロナウイルスワクチンの接種推奨に関する情報の提示をお願いできればありがたいです。また、第5類に移行した後の一般診療所における感染症診療のガイドラインもお示ししていただけると幸いです。
                          令和5年3月4日 院長